ヴァイスtype0メタゲーム考察

 全世界のヴァイス人口は70億人を超え、世界中の酸素がヴァイスシュヴァルツになる日も近い。今回の記事は世界最高のトレーディングカードヴァイスシュヴァルツだ。読者のヴァイス打ち諸君はこんな経験はないだろうか。「このデッキトップがCXなら勝っていたのに」「手札のCXが殴られるキャラクターなら勝っていたのに」「CXが10枚積めればなあ」と。そしてある疑問に辿り着く。

 

 「CXが上限なくデッキに入れることができたら何枚入れるのが一番強いのか?」

 

 「一切の構築ルールを取っ払ったなら最強のデッキは何か?」

 

 今回の記事はヴァイスにおける最強のデッキを決めるフォーマット、ヴァイスtype0についてサンプルデッキを紹介しながらメタゲームの考察をしていく。ルールは以下のとおりだ。

 

1.ヴァイスシュヴァルツのカードであればタイトル問わずすべて使用可能。

 

2.全ての枚数制限(CXの枚数、同名カードの枚数、デッキの枚数)を無視する。

 

3.その他のルールは通常のルールに則る。

 

Deck.1 【CX6000】

f:id:hohen:20190325210907j:plain

 ヴァイスtype0を語る上で最も重要なデッキがこの【CX6000】だ。デッキコンセプトとしてはダメージを受けないこと、負けないことだ。これ以上にtype0にふさわしいデッキはあるまい。相手のアタックは全てキャンセルし、相手のリフレッシュダメージを積み重ねて勝利する。第一に負けないこと、これがtype0の一つの指針となった。他のTCGでは先攻でエクゾディアを揃えて特殊勝利すること、手札をダメージの入るカードだけにして相手のライフを0にすることといったように「勝つこと」を考えるのに対しヴァイスは「負けないこと」に重きを置く。実に深いトレーディングカードと感じた瞬間であり、考察しがいのあると感じた瞬間である。

 

Deck.2 【1ヒール】

f:id:hohen:20190403220551j:plain

  一躍type0のトップメタに躍り出た【CX6000】であったがその天下は一夜にして崩壊する。この構築には重大過ぎる欠点があったのだ。相手の自滅狙いの構築上ダメージクロックが一切入っていないので相手が恒久的な回復ソースを持っていれば勝つことができないのである。逆に【CX6000】側は回復ソースを持たないので6000枚の山札が28周したら自滅してしまうのである。(6000×28=168000ターン、1ターン1秒としたら46時間40分後には負けてしまう。)またこういった【1ヒール】のような尖がった構築でなくても普通のフェアデッキに回復ギミックとそれを回収するギミックを組み込めば同じ状況を生み出せるため最強どころか最弱のデッキということを露呈する結果となった。

 

Deck.3 【除去コントロール

f:id:hohen:20190403221151j:plain

 通常ダメージが入らないフォーマットであるtype0でリフレッシュダメージとそれを回復するカードによってメタが定義されている。これに異論を唱える者はいないはずだ。ならば回復ソースを潰してしまえばいい。極めて自然な発想だ。後列を含む除去カードでレベル範囲の最も広いのがこのなぎさだ。レベル3という重さ、CXコンボという条件の悪さもこのフォーマットであれば関係ない。お互いにダメージを受けない以上回復ソースを断ち切ることさえ叶えばリフレッシュダメージを28回叩き込み勝利することができるのだから。

 

Deck.4【みくるループ】

f:id:hohen:20190403225119j:plain
f:id:hohen:20190403225133j:plain

  除去コントロールがトップメタとなり、除去カードの採用枚数が勝率に直結するフォーマットになってしまったtype0。またもや泥沼に突入してしまったかに思えたメタゲームであるがヴァイスの歴史は長くカードプールは広い。当然それに対抗するカードは存在しているのだ。相手ターン中最も安全な領域である思い出置場に逃げられるみくるだ。そして重いコストを要求する彼女のパートナーに選ばれたのは攻撃するだけで回復をもたらすあずさ。デッキ内のCXの比率が高くなってしまうこのフォーマットに非常にマッチしたカードといえる。また能動的に殴りに行くことができることからCX純度の低いフェアデッキに、回復ソースにより【CX6000】のようなアンフェアデッキにも有利と非常に完成度の高いデッキといえる。

 

Deck.5 【エクスカリバーミル】

f:id:hohen:20190403231208j:plain

 【みくるループ】の完成によりメタゲームは終焉を迎えたかに見えた。しかしいかに自分のライフとキャラクターを守ることに長けたデッキといえど守りきれないものがある。それが控え室であり山札だ。この控え室=山札を思い出置場へと飛ばし削る「ミル」という行動はメタゲーム上に存在する全てのデッキに効果的だ。あとは【除去コントロール】に負けないようにみくるのギミックを、【CX6000】に負けないように回復ソースを忘れずに入れるだけだ。(みくるでセイバーしか守ることができないが、回復が必要なマッチは【CX6000】だけなので問題ない。)

 このデッキはtype0史上初めて勝ちに行くことを目標としたアーキタイプであり、初のアグロデッキといえる。この【ミル】というアーキタイプの成立以降、type0ではアグロ対コントロールという構図が続くことになる。type0を語る上で欠かすことができないデッキなのである。

 

※ルール改定についての謝罪

 【エクスカリバーミル】の成立をもってtype0総合ルールに以下の項目を追加する。

 

4.デッキの枚数の上限は50枚とする。

 

 このルールの追加の背景としてミルのミラーになった際、デッキ枚数が多い方が圧倒的

 に有利になってしまうことが問題点として挙げられた。【CX6000】という単純なデッキと異なり、攻撃手段、勝ち手段を持った6000枚のデッキを50枚のデッキでライブラリーアウトさせるのは困難だ。6000枚のデッキに対抗するには10000枚のデッキ、それに対抗して100000枚と勝敗をデッキ枚数に委ねることになりかねない。type0というフォーマットをデッキ枚数を用意できる資産を持っている者が勝つゲームにしないため、プレイングと構築でのみ勝敗が決まるゲームにするために本ルールを追加されて頂いた。デッキ枚数が不利に働くような事例を見つけられなかった自分を恥じるとともに【CX6000】の愛好家の方々には重ね重ね謝罪を申し上げたい。しかしこのルールの追加で50枚の中に何枚CX以外のカードを採用するか、どこまでダメージを許容して勝てる範囲を増やすかがプレイヤーの力量次第となったことでtype0の競技性は格段に上がったという見方もできる。

 

Deck.6 【ラインハルトコントロール

f:id:hohen:20190403231334j:plain

 type0といえどネオスタンダードと同じ一つのフォーマット、新しいカードの登場によって環境は容易に変化する。キャラクターのリソースの少ないこのフォーマットにおいて思い出への除去の択を迫るラインハルトの能力は実質的にアタックを封じる能力と同義だ。現在のカードプールではアタックなしにミルを行えるカードは存在せず膠着状態に持ち込むことができる。あとは相手のミルを後列に閉じ込めたまま一方的にミルを行えばいい。ラインハルトの登場は今まで先手有利だったミル環境に一石を投じるものだった。ミラーを含めミルの先出しはレベル3までの過程でラインハルトを思い出に飛ばさない限りミルパーツを必ず失うことになり悪手となりうる。

 現状ラインハルトを処理する方法として一番有効なのはラインハルト自体をぶつけることである。ミルパーツを犠牲にしてラインハルトを中央に立てれば今度は後手側がラインハルトを失うかミルパーツを失うかの択に迫られる。これがラインハルトとミルパーツの採用枚数分だけ繰り返される。つまりラインハルトとミルパーツをどれだけ採用するかが勝利の鍵でありプレイヤーの技量が問われる環境といえるだろう。

 

Deck.7【スタンバイミル】

f:id:hohen:20190403231537j:plain

 【ラインハルトコントロール】の完成度は非常に高く、ラインハルトを採用しないアグロデッキの成立は難航した。【スタンバイミル】はその名の通りスタンバイアイコンを利用したオールインアグロである。レベル1からの早出しに特化し除去されないレベル帯から2面ミルを行う環境最速デッキだ。常に控え室に睨みをきかせることから相手はスタンバイの恩恵を受けることができず、一方的なテンポ差を押し付ける。レベル3に上がる前に勝敗を決するのがデッキコンセプトだ。

 しかしこのデッキにはある問題点があった。今までのデッキは既存のデッキに対して10:0で有利をつけてメタゲームを変えてきたのに対し、【スタンバイミル】はその条件を満たしていなかった。既存の環境トップの【ラインハルトコントロール】に対して考案されたデッキでありながら手札にラインハルトをキープされると【エクスカリバーミル】と同様詰みの状態に持っていかれる。またスタンバイによるテンポ面でも1-6でラインハルトをクロックドローされるとミルするタイミングを与えずにスタンバイで早出しが可能となるため一方的に享受できるとも言い難い。この構築ではラインハルトを環境から駆逐することは叶わなかったのである。

 

Deck.8 【ハンデスミル】

f:id:hohen:20190403231816j:plain
f:id:hohen:20190403231904j:plain

 メタゲームを変えるには【ラインハルトコントロール】を打ち倒す必要がある。そのヒントは意外にも直前のデッキに隠されていた。前の項目でラインハルトを手札からキープされると負けると書いた。ではそれをされなければ勝てるのではないか。そこで白羽の矢が立ったのがハンデスギミックだ。ディスペルマジックは集中の条件を満たす必要があるものの1:2交換がとれる強力なハンデスカードだ。CX密度が極端に濃いこのフォーマットであればスケルトバイスであり、hymn to  tourachだ。

(恐らく最も有名なハンデスカードは神木だろうがハンデスコンボに要するコンボパーツの多さがネックとなりお蔵入りとなった。)

デッキの基本戦術はコントロールのように振る舞い、レベル2までにディスペルマジックを4枚とミルパーツを揃えるように立ち回る。幸い【ラインハルトコントロール】環境では先出しミルは悪手とされているためパーツを揃える過程でデッキバレのリスクは少ない。そしてレベル2帯の相手のリフレッシュ後のタイミングにディスペルマジックを4連打し相手の手札を全て叩き落す。あとは落ちたラインハルトを1枚ずつミルしていけば任務完了だ。またラインハルトの先出しに対して有効なのが紫炎と緑炎だ。このカードは唯一といってもいいラインハルトを処理できるカードでハンデスとミルと組み合わせて場に出たラインハルトを完全に除去できる。このカードの採用により先出しミルでラインハルトで蓋をされた場合でもミルを続行できる。またこれのおかげでハンデスパーツさえ揃えばいつでもミルを仕掛けに行けるフレキシブルさもこのデッキの魅力だ。

 しかしこのデッキにも欠点はある。それは5枚のイベントにデッキが圧迫されているため単純なミル勝負では劣ってしまう点だ。特に【スタンバイミル】のような先出しミルを行うオールインアグロを苦手としている。【スタンバイミル】は【ラインハルトコントロール】を倒すために考案されながら本命よりも本命に強いデッキを倒してしまうなんとも皮肉な結果となってしまった。

 

Deck.9 【七海コントロール

f:id:hohen:20190403232024j:plain
エクスカリバーミル】の成立以降type0のメタゲームはミルを中心に動いていた。アグロ、コントロール、コンボに至るまで環境に存在する全てのデッキで採用されている。ミルの撃ち合いを帳消しにする七海の登場はtype0をさらなるステージへ昇華させるものと期待されていた。使用後思い出に飛んでしまうイベントや除去をケアしない展開など新しい構築、プレイングが生まれると目されていた。

 しかし既存のデッキの完成度の高さがこれを阻む。まず【ラインハルトコントロール】とのマッチアップを考えてみよう。中央にラインハルト、思い出にみくるとセイバーのミルセットというソフトロック状態の時、七海のCXコンボを発動させたとしても七海自身はラインハルトによって思い出送りにされ、せっかく控え室に戻したカード達も次のターンにはミルの的になってしまう。アタックフェイズというラインハルトから逃げられないタイミング、戻す先がもう一度ミルの対象となる控え室という欠点を曝け出す結果となってしまった。やはりラインハルト相手にはラインハルトをぶつけるしかなく、七海はラインハルトとミルパーツをぶつけあった後のリカバリー手段としての立ち位置がふさわしい。また【ハンデスミル】とのマッチアップにおいても一度ダメージレースを帳消しにするためにCXコンボを発動させた返しに紫炎と緑炎とディスペルマジックのコンボで控え室に落ちてしまう。

 結論として七海は環境を一変させるほどのパワーはなくコントロールの保険用のカードという立ち位置で落ち着いた。しかしカードプールにこれが存在しているのとしていないのとでは天と地ほど違う。ケアを怠れば一瞬でダメージレースがひっくり返るよりスリリングなフォーマットになったといえるだろう。

 

総括

 

これでヴァイスtype0メタゲームの役者は揃った。環境最速のオールインアグロである【スタンバイミル】、圧倒的な盤面支配力とダメージレースの挽回能力を有する【ラインハルトコントロール】、パーツが揃えば必殺のコンボになりうる【ハンデスミル】 。コントロールはアグロに強く、コンボはコントロールに強く、アグロはコンボに強い。奇しくも三竦みの結果となってしまったがこれをメタゲームの妙と言わずして何と言えるだろう。

 今回の記事ではあくまでデッキの雛形だけでデッキリストは記載していない。これを読んだ人に考察して最適解を探して欲しい。type0のメタゲームを切り開くのは他でもない君だ!来たるWGPのサイドイベントで会えることを期待している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さてここまで読んでいる君たちは相当のヴァイス好きかクレイジーかどちらかだろう。最後に本当のtype0を紹介する。この記事でtype0のルールに以下のことを規定した。

 

1.ヴァイスシュヴァルツのカードであればタイトル問わずすべて使用可能。

 
このヴァイスシュヴァルツのカードというのは公式大会で使用できないカードも当然使用可能に含まれている。
f:id:hohen:20190403232637j:plain
f:id:hohen:20190403232659j:plain
f:id:hohen:20190403232802j:plain
これらのカードは専用デッキを組めばtype0の既存のデッキを容易に打ち倒すことができるカードパワーを持っている。しかし今回紹介するカードはそれ以上だ。
 
Deck.EX 【エクゾディアジブリール

f:id:hohen:20190403233131j:plain

f:id:hohen:20190403233151j:plain
f:id:hohen:20190403233725j:plain
f:id:hohen:20190403233743j:plain

 ヨコハマいちの名探偵は非常に重いコストを有しているもののキャンセル不可という唯一無二の能力を持ったカードだ。自身がCXである点やトップがCXである条件はまさしくtype0のためだけに生まれてきたカードといえるだろう。このデッキのコンセプトは先攻1ターン目にソウル+50されたジブリールで不可避の一撃を叩き込むというものだ。先攻ワンキルの手順はいたってシンプルで

緑のキャラである茜を展開→レベルアップ発動、赤発生→茜の能力起動、青発生→ジブリール展開→踊ってリーサル

とコンボパーツも少なく非常に安定している。今のカードプールでこれに対抗する術はなくtype0環境の現状はじゃんけんゲーと化している。このように使用不可カードまで認めてしまうと競技性を著しく損ねてしまうことから番外編という扱いにさせてもらった。読者の力でこの荒廃したメタゲームを改善してくれることを願っている。

 

 それじゃ今度こそお別れだ。よきtype0ライフを!